Ⅲ音について
- 拡張期に聴取され、Ⅱ音の120-180msec後に聴取される低調な過剰心音
- “kentucky”と同じ語感
- エコーでのE波に相当
発生機序
房室弁解放後、拡張早期の急速流入期の終わりに血流の急速な減速及びそれに伴う心室壁の振動によって生じる。
→よって血流の減速の程度(加速度の絶対値)、心室壁の硬さに依存する。
音響学的考察
一般に20-50Hzであり、聴診で聞くことのできる最低周波数に近い。
心室壁が硬いと、周波数が上がるので少し聞こえやすくなる。
臨床的意義
生理学的Ⅲ音
40歳以下で心疾患がない場合、生理的なⅢ音を認めることがある。
この場合、痩せ型のことが多い。
加齢に伴って左室の弛緩速度が遅くなるため、生理的Ⅲ音は消失する。
左房圧の上昇
うっ血性心不全
心房圧の上昇は心室に流入する血流速度が増加するので、心室における減速の程度も大きくなる。
BNPの上昇やEFとも相関する。
逆流とシャント
MR,VSD,PDA
左房容量が増加し、左室に流入する血液が増加すれば左房圧が上がらなくてもⅢ音は生じる。
ARでは直接左房圧が上がるわけではないので、S3が聞こえる場合は重症
Ⅳ音について
- Ⅰ音の直前で聴取される低調な過剰心音
- Ⅳ音が聴取される場合、年齢に関わらず異常所見
- 心房ギャロップ、収縮前ギャロップとも言われる。
- 音的には”Tennessee”
- エコーでのA波に相当。心電図ではP波直後
発生機序
心室充満曲線における心房収縮期に生じる。
心室での流体力学的挙動と心音の発生はS3と同様の機序だが、S3と違い弁解放に伴う血液の流入ではなく、心房収縮による心室内への血液流入が原因である。
そのため、S4は洞調律で強い心房収縮をきたす疾患で聴取する。
→Afのように心房が十分に機能していない場合はS4は生じないとされる。
音響学的考察
- S3と同時に低調な音(20-70Hz)
- 振動持続時間は40-80msec
臨床的意義
S4を聴取する疾患は多くあるが、原因疾患の特定や循環動態の予測、重症度と相関するデータがない。
心筋梗塞後1ヶ月時点でのS4の聴取は5年生存率を低下させる。
参考文献
マクギーのフィジカル診断学
レジデントのための心臓聴診法 第2版
子供の心臓聴診 -聴診からわかる病態-

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