※この記事は本書を読んだ際の私の解釈と感想で、実際の本の表現や文章とは異なる。
第5章は医療の無駄という題であるが、本書はアメリカの医療について語っているため
日本の医療制度には当てはまらないことも記載されている。
本ブログは、主に日本の医療制度上で、本書を読み自分が感じたことを書いている。
医療には無駄が多い
事務的な話
これは…
臨床で働いていた時にすごく思いました。
ただこれは、
「なくていいことをしている」
のではなくて、
「やらないといけないことだけど、めちゃくちゃ効率が悪い」
ということが多い。
例えば、入退院サマリー、入院診療計画書、クリニカルパス、各種指示簿、紹介状、問診票などなどの書類。
診療をする上では必要な書類である。決して不必要ではない。
が、
例えば退院サマリーを書いていて、検査結果を書くときにいちいち
Hb: 13.5 g/dL
とか真面目に手入力していたのである。
カルテの記載をコピペすると、なんか微妙に文字がずれたりして指導医に見づらいと言われるので本当に手入力である。
別に退院サマリーを書きたくないと言うわけではない。
が、なんかもう少しスマートにできないのかと思いながら働いていた。
あとは問診票などの患者さんにサインをいただく系の書類。
書類をカルテから印刷する。
→印刷した書類に記載、患者さんに説明してサインをいただく。
→印刷した書類をカルテにスキャンする(!?)
これ、タブレットとか使って全部電子上でやりませんか….
他の業種、(ホテルのサインとか)タブレットにやってたよ….
あと紙が勿体無い….
様々な意見があると思いますが、
私は書類と向き合うより、患者さんと向き合う時間を増やしたほうがいいと思います…
医療費的な話
日本の医療制度は国民皆保険があるので、
アメリカのように受診が遅れ、その結果より医療費がかさむ
みたいな方向には進みづらいでしょう。
一方で、受診の総数自体は多くなるので、
適切に患者を診療しないと、無駄な検査コストや治療コストが増えることになるでしょう。
しかし現状は、医師によってばらつきがあるのが現状です。
小児科医に発熱何日目から血液検査しますか?と聞いたら、
ある程度のばらつきはあるでしょう。
僕は5日以上はマスト、4日は食事取れてたら家族と相談、3日未満は食事取れてたら見送り(明らかに気になることがある場合を除く)
って感じでやっていた。
しかし自分の中の基準も特定の感染症が流行しているシーズンや、病院側のキャパ(入院可能な病院かクリニックか)、検査キットの在庫等々で大きく変動していた。
もしかしたら自分の基準はオーバートリアージで、医療費の無駄に繋がっていたかもしれない。
一方で逆にアンダートリアージで、本来早期に病気を見つけられた患者を見落としていたかもしれない。
この基準を統一したほうがいいというわけではないが、もしかしたらAIが医師のcopilotとして適切な判断を下す助けになるかもしれない。
AIは最高の嫌われ役になるかもしれない
本書を読んでいて思ったのだが、
医療においては病状や治療の効果、予後などにおいて、
時に厳しいことを患者さんに言わないといけないことがある。
しかしこれは患者さんにとって受け入れ難いことが多く、医療者にとっても精神的負担になる。
患者さんの命に関わることになれば尚更である。
しかし厳しい内容でも患者さんに伝え、話し合うことは、
病気への受容に繋がり、結果的に患者さんのQOLを向上させる。
AIはで客観的なデータしか出さず、無機質で、人間の暖かさない。
一見このタスクとの相性は最悪のようだが、患者さんによっては良い相談相手かもしれない。
AIは客観的で、人間の医師にあるような独自の考え方や主張がない。
そのため「他の医師なら違うことを言ってくれる」ということはあっても
「他のAIなら違うことを言ってくれる」とはならない。
ある意味、諦めがつくかもしれない。
また実際に医療者の中には患者さんに厳しい話をするのを躊躇してしまい、結果として本人が望む形で医療が提供されないことがある。
もちろん患者さんの向き合うことはAIの仕事ではなく、医療者の責務だが、
AIは患者さんにとって”良いはけ口”になるかもしれない。
第三の人になる

「〜さんの今の発熱はウイルス性のものなので、抗菌薬は不要ですよ」

「でもこの前同じ症状だった時に抗生剤が効いたんです」

「前回と症状が同じでも、原因は異なることがあります。ウイルス性の感染症に抗菌薬は効きません。」

「抗生剤出してくれないなら帰ります」

「…」
実際の医療では医療者と患者の意見が異なり、しばしば対立してしまうことがある。
これは、医療者が間違っているわけでも、患者さんが悪いわけでもない。
医療者は患者さんのことを第一に考え、患者さんはより良い医療を受けようとしているだけなのに。
AIはここに客観的なデータを提示し、患者さんに正しい医療情報を、医療者に正しい患者背景を伝えることができるかもしれない。

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